「ちり紙」は、ティッシュペーパーやトイレットペーパーが普及する数十年前には一般家庭でよく使われていたものです。
ちり紙は、「塵紙」と書き、ちりがみ、またはちりしと呼びます。
形としては、長方形の平らで薄い紙1枚です。
もう姿を消したと思っていた「ちり紙」は、実はまだ使われているそうです。
「ちり紙」、「ちり紙交換」についてお伝えいたします。
「ちり紙」は、塵ということからもわかるように、ゴミ、紙クズを再生させた紙です。
昭和の後半までは、ちり紙は生活に必要な衛生用紙として、ティッシュペーパーやトイレットペーパーの役目をしていました。
鼻をかんだり、お尻を拭いたりと大活躍していたものです。
昔のいわゆる「ボットン便所」には、トイレットペーパーの代わりに置いてあるのが普通でした。
ポケットティッシュもない頃は、平判ちり紙という種類のちり紙を何枚か折りたたんでポケットに入れていたものです。
といっても、どういう形状なのかよくわからないですよね?
長方形の薄い紙で、ティッシュのように畳またり、2枚1組ではなくて1枚ずつの平たい板状のものが重なってパッケージされています。
ちり紙は、ティッシュペーパーやトイレットペーパーにとって代わられて、生産量も激減しているそうです。
見たことも聞いたこともないという人も多いことでしょう。
ですが、「片手で適量を取れる」のが特徴のちり紙は、意外と使い勝手がいいもので、現在でも根強い愛好家の方々がいらっしゃるようです。
というのも、すでにカットしてあるので、トイレットペーパーのようにちぎる手間がないということや片手でちぎるだけの手の力がない方には重宝なものとなっています。
用途としては、ペット用や保育園や介護施設などで使われているようです。
以前は、トイレに流せるような製品はなかったのですが、現在ではトイレに流せるタイプもあるので、安心して使えますね。
かつては、住宅街に「ちり紙交換車」がよく回っていました。
「毎度~おなじみ、ちり紙交換車(廃品回収車)でございます。ご家庭内の古新聞、古雑誌、ぼろ切れ、ダンボールなどがございましたら・・・」
とちり紙交換車と呼ばれる車が、拡声器を使って交換を呼びかけながら、家庭で不要になった紙をちり紙やトイレットペーパーと交換し回収していました。
その声を聞くと、家庭で溜めていた古紙を業者を呼び止めて交換したものです。
ちり紙交換屋さんの集めた古紙は、古紙再生業者に売られ、昭和の頃の古紙再生スタイルとして一般的なものでした。
それが、各自治体で資源回収を始めたり、古紙価格が暴落したことなどによって、今ではちり紙交換をしても割に合わなくなってしまって廃れたようです。
新型コロナウイルスの感染が始まった頃、デマの影響でトイレットペーパーやティッシュペーパーが店頭からなくなってしまいましたが、そうした折に店頭の端に残っていたちり紙を買うことができたという方もいらっしゃるようです。
ちり紙は、家庭のトイレが水洗に代わる頃に、それまで新聞紙を柔らかくして使った紙がちり紙に変わり、和式トイレが洋式トイレに代わる頃にロールタイプのトイレットペーパーに代わっていったようです。
それが、2020年のコロナ禍でちょっとだけ蘇ったちり紙についてお伝えしました。
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